2021.06.13 / 不動産お役立ち知識

日本の高齢者人口の割合は世界で最も高く、あと数年もすれば人口の3人に1人が65歳以上の高齢者になると言います。65歳を高齢者とするには、最近では現役で仕事をしている方も多いのであまりピンとこないですね。

ただ、場合によってはいくら元気でいたとしても「高齢者」として認識されれば、スムーズに事が進まないことがあります。そのひとつが賃貸住宅の物件探しをする時です。高齢者、特に単身の高齢者の方は一層きびしいものになります。

お金があれば住める(買える)持ち家に対し、賃貸の家は大家さんや保証会社の審査に通らないと住めない(借りられない)ので、その審査が高齢者にはハードルが高いのです。

それは独居高齢者が、「病気になった時に一人で生活できなくなってしまう」ことや「亡くなってもしばらくわからない」などの「孤独死」を警戒しての判断です。まだまだこの傾向が強いと感じます。弊社のお客様に賃貸住宅をお探しする時にもこの理由で断られたことが何度もあります。

※※高齢者優遇賃貸住宅やURなど初めから条件を満たせば高齢者OKの住宅もありますが今回は一般的な賃貸住宅のお話しをしています。

審査にはもちろん、家賃の支払いに問題がないかどうかのお金の事情も考慮されますが、これについては保証人をつけたり、契約者に身内の人を立てたりしてクリアできることもありますが、「孤独死→次の入居者が入らない」というリスクを考えると、高齢者というだけで物件を貸すのをためらうのもあるていど理解が出来ます。

最近では、警備会社などが「高齢者見守りサービス」として、賃貸住宅に住む人が通る場所にセンサーを付けて動きの確認をしたり、毎日電話連絡を取ったり、カメラ設置など独居でも安否の確認ができる仕組みが開発されています。これを取り入れた賃貸住宅は単身の高齢者でも受け入れてくれる動きもあるようなので、これがもっと増えていけばいいですね。大家さんにとっても、今後は高齢者にもどんどん入居してもらった方が事業継続の上でメリットがありますよね。

今のところ弊社のお客様では、ご理解あるオーナー様(大家さん)の物件が見つかり、どこにも入居できなかったという方はおられませんが、今後はそういうことも想定できます。その場合は、最終的に公的な機関にご案内することになりますが、住まいの希望条件からは遠くなってしまうことが多いかもしれません。

これを回避するためには、「高齢者」になる前に賃貸住宅に移ることも一つの方法です。様々な理由があって高齢になってから家を探さなければならないことも多いと思いますが、こういった事情も事前にわかっていれば少し早めに動きだすことが出来るかもしれません。

いずれにしても日本の高齢化の速度に、不動産業界が追いついていないのかもしれません・・・。