2022.03.15 / 相続対策パターン

相続した不動産を売却する際の流れでは、通常の売買とは異なる点があります。特に手間がかかるのが「戸籍の収集」「相続登記」です。

今回は相続した不動産を売却する場合のパターン別の流れや注意点についてご説明しますので、相続物件の売却を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

1. 相続した不動産を売却する流れ

相続した不動産を売却する流れはおおむね以下のとおりです。

  1. 相続人調査を行う
  2. 相続登記をする
  3. 不動産会社へ仲介を依頼する
  4. 買主との条件交渉
  5. 売買契約の締結
  6. 決済と登記移転手続き

それぞれのステップについて確認します。

STEP1 相続人調査を行う

不動産を相続した場合、まずは「相続人調査」を行わなければなりません。

相続人調査とは、誰が相続人になるのか確定する手続きです。

具体的には被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本類を取得して、子どもや孫、親などの親族関係を調べる必要があります。

戸籍謄本類は本籍地のある役場で保管されています。1通でも漏れがあると後の手続きを進められなくなるので、日付が連続するように慎重に取得しましょう。

STEP2 相続登記をする

次に「相続登記」を行わなければなりません。
相続登記とは、被相続人から相続人へと不動産の名義を変更することです。
相続登記しなければ不動産は被相続人名義のままになったままで売却ができません。

法律上、被相続人から買主への直接の名義変更はできず、必ずいったんは相続人名義を介さなければならないのです。
相続不動産を売却する際の相続登記には以下の2種類があります。

・相続人全員名義に相続登記

1つ目は相続人全員が売主となって売却活動を行う場合です。

この方法をとる場合、不動産の名義はいったん「相続人全員」にして、そこから買主へと移転します。具体的には相続人全員の「共有」とした上で、全員から買主へと名義を変更します。

メリットは、代表者を定めなくて良い点です。誰か1人に負担を集中させたくない場合や信頼できる相続人がいない場合などにはこちらの方法がよいと思います。

デメリットは、売却活動に相続人全員が関与しなければならず手間がかかる点です。

代表者名義に相続登記

2つ目は、相続人の代表者を決めて代表者が売却手続きを行う方法です。

この方法の場合、不動産の名義はいったん代表者の単独名義とします。そのうえで代表者個人が売却を進めて買主へと登記を移転します。

メリットは、代表者1人が売却活動を進められるので、他の相続人に負担をかけない点です。

デメリットは、代表者に権限が集中してしまうため、信用できるケースでないとリスクが発生する点です。たとえば代表者が受け取った金銭の清算似誠実に対応しない場合、他の相続人とトラブルになることがあります。

こちらの方法は、信頼できる相続人代表者を決められる場合に限って利用することをおすすめします。

STEP3 不動産会社へ仲介を依頼する

上記のどちらの方法をとるとしても、不動産を売却するなら不動産会社へ仲介を依頼すべきです。自分たちだけで買主を見つけるのは困難ですし、個人間売買ではトラブルのリスクも高くなってしまいます。

STEP4 買主との条件交渉

次に買主の内見に対応したり、不動産会社を通じて条件交渉を行ったりして売却活動を進めましょう。売却価額や引渡時期などについても話し合う必要があります。

STEP5 売買契約の締結

条件について合意ができたら、不動産の売買契約を締結します。

売買契約書は通常、不動産会社が用意するので内容に誤りや問題がないか、しっかり確かめてから署名押印しましょう。

相続人全員が関わる場合には全員が契約書に署名押印しなければなりません。代表者を定める場合には代表者1人が署名押印すれば足ります。

STEP6 決済と登記移転手続き

売買契約を締結したら、定められた日に決済と登記の移転手続きを行います。

登記の移転については司法書士に依頼するのが一般的なので、委任状等の必要書類を担当の司法書士へ渡しましょう。

STEP7 清算

売却金が入ってきたら、相続人間で清算しなければなりません。基本的には法定相続分に応じて分けるのが公平です。

ただし相続人が全員納得すれば法定相続分と異なる割合で現金を取得してもかまいません。

トラブルを避けるため、相続割合については事前に遺産分割協議書に定めておきましょう。

2.相続不動産を売却する際の注意点

1.贈与税がかかる可能性がある

相続人代表者を定めて売却し、後に清算する方法をとる場合、贈与税がかかる可能性があります。特に代表者名義に換えてから売却までに時間が経ってしまうと、外見上は贈与に近くなってしまいます。

代表者を定めて売却する場合には、遺産分割協議書に「換価分割」であることを明らかにしたうえで早めに売却と登記を完了しましょう。

2.契約不適合責任に注意

売却する不動産に欠陥があると、相続人に契約不適合責任が発生する可能性があります。

ただし契約不適合責任は免除したり期間を限定したりもできます。 ホームプランニングでは相続物件の売却に積極的に取り組んでいます。相続した不動産を売却しようとしている方はお気軽にご相談ください 。