2022.06.05 / 相続対策パターン

複数の相続人が遺産を相続したら「遺産分割協議書」を作成しなければなりません。

遺産分割協議書は相続に関するさまざまな場面で必要となります。正しく作成しないと不動産の名義変更や預貯金の払い戻しを受け付けてもらえないリスクも発生するので、これを機会に作成方法を押さえておきましょう。

今回は遺産分割協議書を作成するまでの流れや具体的な書き方をご紹介いたします。

遺産分割協議書が必要な場面

遺産分割協議書とは、相続人が遺産分割協議を行って合意した内容をまとめた書面です。

遺産分割協議書をみると、その事案でどういった方法で遺産を分けるのかが一目瞭然となります。

遺産分割協議書を作成するまでの流れ

遺産分割協議書は以下の手順で作成します。

STEP1 相続人を確定

まずは相続人調査を行い、相続人を確定させなければなりません。

被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本類を取得して、親族関係を調べましょう。

STEP2 遺産の内容を確定

遺産の内容がわからなければ遺産分割協議は進められません。預貯金や株式、不動産や負債なども含めて漏れのないように調査しましょう。

STEP3 遺産分割協議を行って合意する

相続人が全員参加して遺産分割協議を行います。全員が合意できたら遺産分割協議が成立します。

STEP4 遺産分割協議書を作成

遺産分割協議が成立したら、その内容を遺産分割協議書に記載してまとめましょう。

遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議書は以下の手順で作成します。

遺産分割協議書に記載すべきこと

遺産分割協議書には最低限、以下の内容を記載しましょう。

  • タイトル
  • 被相続人の氏名、死亡年月日、最後の住所地
  • 相続人の氏名や続柄
  • 遺産の分け方
  • 後日に判明した遺産について
  • 遺産分割協議の成立年月日

  • 以下でそれぞれについてみていきます。

タイトル

まずは「遺産分割協議書」というタイトルを書きましょう。書かないと、何の書面なのかが明らかになりません。

被相続人の氏名、死亡年月日、最後の住所地

亡くなった方の氏名や死亡年月日、最後の住所地を書きましょう。

相続人の氏名や被相続人との続柄

相続人全員の氏名と被相続人との続柄を書きましょう。
たとえば「甲野太郎(長男)」などと記載します。

遺産の分け方

遺産分割協議書の中でももっとも重要なのは遺産の分け方に関する記載です。

間違えると不動産の名義変更などができなくなる可能性もあるので、慎重に対応しましょう。

基本的には誰にどの財産を取得させるのかを書きます。特に「財産の特定」ができていないと相続手続きを進められなくなってしまうので、以下では財産の種類ごとに、遺産分割協議書における正しい書き方をご説明します。


不動産の場合

不動産を特定するには、不動産の全部事項証明書の「表題部」を書き写さなければなりません。住居表示とは異なるので、混同しないようにしましょう。

たとえば以下のような記載となります。

土地
所在 横浜市○○区○○
地番 ○○番○
地目 宅地
地積 ○○.○○平方メートル

建物
所在 横浜市○○区○○
家屋番号 ○○番○
種類 居宅
構造 木造スレート葺2階建
面積 1階部分 ○○.○平方メートル
   2階部分 ○○.○平方メートル


預貯金の場合

預貯金の場合、金融機関名と支店名、口座の種類と口座番号で特定します。

記入例

○○銀行○○支店 普通預金 口座番号 ○○○○○○○


株式の場合

株式の場合、発行会社と株式数にて特定します。

○○株式会社 普通株式 ○○株

証券会社に預けている場合「○○証券株式会社 ○○支店 預かり」などと記載してもかまいません。

後日発見された遺産について

遺産分割協議後に新たに遺産が発見された場合、どのように処理するのかも定めましょう。

誰か一人に取得させるのか、あらためて協議するのかなどを明らかにしておくと良いでしょう。

遺産分割協議の成立年月日

遺産分割協議書では必ず成立年月日を記載しましょう。
抜けると効力を争われたときに問題が生じる可能性があります。

遺産分割協議書作成の注意点

遺産分割協議書を作成する際には、以下の点に注意しましょう。

押印と印鑑登録証明書について

押印に使用する印鑑は実印とすべきです。相続人全員分の印鑑登録証明書もつける必要があります。

実印と印鑑登録証明書がないと、不動産の名義変更ができません。預貯金払い戻しなども断られるリスクが高まるためです。

通数について

遺産分割協議書は相続人の人数分作成します。
それぞれの相続人が1通ずつ受け取って保管しましょう。

複数ページにまたがる場合の対処法

遺産分割協議書が複数ページにまたがる場合、契印をしなければなりません。
相続人全員が実印を使ってページとページの間に押印しましょう。
ただし製本すれば、すべてのページに押印する必要はなくなります。
ページ数が多い場合には製本用テープなどを使って製本すると便利です。

相続不動産の売却はお任せください

不動産を相続した場合、全員で公平に分割するには売却して現金で分けるのが簡便です。
使用しない実家の不動産を相続するケースも増加傾向にあります。

そのような場合には不動産仲介会社へお任せください。当社では横浜および神奈川全域で相続物件の売却に力を入れていますので、お気軽にご相談いただけますと幸いです。