2022.08.15 / 相続対策パターン

遺産相続の手続きを進める際には法定相続人法定相続分に関する知識が必須です。

法定相続人とは民法の定める相続人法定相続分とは民法の定める原則的な相続割合をいいます。法定相続人については当事者による変更が認められませんが、法定相続分については相続人が全員合意すれば他の割合で遺産分割してもかまいません。

今回は法定相続人の範囲や順位、法定相続分に付いて解説しますので、遺産相続の際にはぜひ参考にしてみてください。

法定相続人の範囲と順位

民法は法定相続人の範囲や順位を定めています。以下で原則的なルールを見てみましょう。

原則的な範囲と順位

配偶者は常に法定相続人になる

被相続人に配偶者がいる場合、必ず法定相続人になります。ただし法律婚の配偶者だけで、内縁の夫や妻は法定相続人になりません。

配偶者以外の法定相続人の範囲と順位

配偶者以外の法定相続人の範囲と順位は以下のとおりです。

子どもが第一順位

被相続人に子どもがいたら、子どもがもっとも優先される第一順位の相続人として遺産を相続します。養子や婚外子、前婚の際に生まれた子どもにも同様に相続権が認められます。

親が第二順位

子どもがいない場合には、親が第二順位の相続人として遺産を相続します。

兄弟姉妹が第三順位

被相続人に子どもも親もいない場合には、兄弟姉妹が第三順位の相続人として遺産を相続します。

代襲相続とは

上記は原則的な法定相続人のルールですが、「代襲相続」が起こると子どもがいない場合でも親や兄弟姉妹へと相続権が移りません。代襲相続とは、相続人が被相続人より先に死亡しているときに相続人の子どもが代わって相続することです。

子どもが親より先に死亡していて子どもに子ども(孫)がいたら、その孫が代襲相続人となって相続します。孫も先に死亡していてひ孫がいれば、ひ孫が相続人となります。このように、直系卑属の代襲相続は延々と続いていきます。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡していて甥姪がいたら甥姪が代襲相続しますが、甥姪の代襲相続は一代限りです。甥姪が被相続人より先に死亡していて甥姪に子どもがいても、甥姪の子どもは再代襲相続できません。

法定相続分

民法は、原則的な相続割合である「法定相続分」も定めています。遺産分割協議の際には、基本的に法定相続分によって遺産を分けるのが公平といえるでしょう。

以下で法定相続分に関するルールをお伝えします。

法定相続分の表

相続人\それぞれの相続割合 配偶者 子ども 兄弟姉妹
配偶者と子ども 2分の1 2分の1(子どもが複数いれば2分の1を等分にする)    
配偶者と親

3分の2

 

3分の1(両親が存命であれば6分の1ずつ)

 
配偶者と兄弟姉妹 4分の3     4分の1(兄弟姉妹が複数いれば4分の1を等分にする)
子どものみ   全部(子どもが複数いれば等分にする)    
親のみ     全部(両親が存命の場合には2分の1ずつ)  
兄弟姉妹のみ       全部(兄弟姉妹が複数いる場合には等分にする)
配偶者のみ 全部      

法定相続分の考え方

同順位の相続人のみの場合

子どものみ、親のみなど「同順位の相続人のみ」のケースでは、その相続人がすべての遺産を相続します。

同順位の相続人が複数いる場合には人数で等分に割り算します。

配偶者と他の相続人がいる場合

配偶者と他の相続人がいる場合の法定相続分は以下のとおりです。

  • 配偶者と子ども…配偶者が2分の1、子どもが2分の1
  • 配偶者と親…配偶者が3分の2,親が3分の1
  • 配偶者と兄弟姉妹…配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1

同順位の相続人が複数いる場合、上記の割合を人数にて等分します。たとえば子どもが3人いたら、それぞれの子どもの遺産取得割合は2分の1×3分の1=6分の1ずつとなります。

全員合意すれば法定相続分に従う必要はない

法定相続分は絶対的なルールではありません。遺産分割協議や調停では、相続人が全員納得すれば異なる割合で遺産分割ができます。たとえば「配偶者が全部遺産を取得する」としてもかまいません。

ただし家庭裁判所での遺産分割審判になると審判官は法定相続分に応じて遺産を分配します。法定相続分以外の割合で遺産を分けたい場合には、協議や調停による遺産分割を目指すと良いでしょう。

遺言があれば法定相続に優先する

被相続人が遺言書を作成して相続方法を指定した場合、法定相続に優先します。

たとえば遺言書で「長男にすべての遺産を相続させる」と書かれていたら、長男は遺産をすべて相続できます。

また遺言書を作成すると、法定相続人以外の人にも遺贈できます。遺贈とは、遺言で財産を引き継がせることです。

法定相続以外の方法で遺産を引き継がせたいなら、必ず生前に遺言書を作成しておきましょう。

相続不動産の売却

遺産の中に不動産が含まれていると、法定相続分とおりにきっちり分けるのが難しくなりがちです。相続人間で公平に分けられず、揉め事に発展してしまうケースも少なくありません。

そんなときには売却して分ける方法を検討しましょう。売却金を法定相続分に応じて分配すると、公平に遺産分割ができます。