2022.06.15 / 相続対策パターン

亡くなられた方が「遺言書」を残していたら、相続人が自分たちで遺言書を探し出さなければなりません遺言書を見つけられないとせっかく作成された遺言書が無駄になってしまいます。

遺言書保管方法や探し方は遺言書の種類によって異なります。

今回は遺言書の種類による違いやそれぞれの探し方を解説しますので、遺言に関心のある方相続人になった方はぜひ参考にしてみてください。

1.遺言書を探さないデメリットやリスク

もしも相続人が遺言書を探さなかったら、どのようなリスクがあるのでしょうか?

一番の問題は「後に遺言書が発見される可能性があること」です。

遺言書が見つからないと、相続人は自分たちで話し合って遺産分割協議を行わなければなりません。協議が整ったら合意した内容に従って遺産を分配することになります。

しかし後に有効な遺言書が見つかった場合、遺言書は遺産分割に優先します。相続人たちは遺言書の内容に従って遺産分割をやり直さなければなりません。

遺言書をきちんと探さないと、後に遺言書が見つかったときに遺産分割協議の効果が失われて「二度手間」になってしまうリスクが発生するのです。

デメリットを避けるため、必ず相続が発生したらすぐに遺言書を探しましょう。

2.遺言書の種類

遺言書には以下の3種類があります。

2-1.自筆証書遺言

遺言者が全文を自筆する遺言書です。遺産目録以外の部分は全部自筆しなければ無効になってしまいます。要式不備で無効になるケースも少なくありません。

一方で費用がかからずいつでも自宅などで気軽に作成できるのは大きなメリットとなります。手軽な分、利用者の多い遺言方法といえるでしょう。

2-2.公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人が公文書として作成してくれる遺言書です。

公証人が作成するので自筆証書遺言のように「要式不備」で無効になる危険はほとんどありません。また公証役場で保管されるので、紛失しにくいメリットもあります。

ただし費用と手間がかかるのはデメリットといえるでしょう。

2-3.秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が自分で作成して封入し、公証人に存在のみを認証してもらう遺言書です。遺言書自身は本人が自分で保管しなければなりません。

内容を誰にも見られないので秘密証書遺言と呼ばれます。

費用と手間がかかる割に限られた需要しかないので、自筆証書遺言や公正証書遺言と比べると利用者は少数です。

3.自筆証書遺言の探し方

自筆証書遺言は、自宅などで遺言者が保管している場合と法務局で保管されている場合があるので、それぞれの探し方をみてみましょう。

3-1.自宅で保管されている場合

自宅や事業所、貸金庫などで遺言者が自主的に保管しているケースです。
この場合、相続人らは自分たちで遺言書を探しださなければなりません。
自宅のタンスや机の引き出しの中など、心当たりの場所を探しましょう。
取引先の金融機関の貸金庫に保管されているケースもよくあります。

3-2.法務局で保管されている場合

自筆証書遺言が法務局で保管されている場合もあります。

近年の相続法改正により、法務局で自筆証書遺言を預かる制度が施行されたためです。

法務局に保管されている場合、遺言者が死亡すると特定の相続人へ「遺言書が保管されていること」について通知が来る可能性があります。その場合には速やかに法務局へ行き、保管されている遺言書の閲覧をしましょう。

通知が来ない場合でも、相続人は遺言書が法務局に保管されているかどうかを調べることができます。親族が亡くなって遺言書が見つからない場合、一度法務局で遺言書が預けられているかどうかの確認を請求してみてください。

4.公正証書遺言

公正証書遺言の場合、原本が公証役場で保管されています。また相続が発生すると、相続人の方は遺言書があるかどうか検索できるようになっています。

親族がお亡くなりになって相続人の立場になったら、公証役場へ行って検索サービスを利用しましょう。

5.秘密証書遺言

秘密証書遺言には法務局における保管制度は適用されません。遺言者が自分で管理する必要があります。相続人としては、自筆証書遺言が自主的に保管されているときと同様に自宅や事業所、貸金庫などを調べましょう。

6.複数の遺言書がある場合

遺言書を探した結果、複数の遺言書が見つかったら基本的に「日付の新しい遺言書が優先」されます。ただし古い遺言書が全部無効になるわけではありません。新しい遺言書と矛盾する部分ののみ効力が認められなくなります。

また見つかった遺言書が自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、家庭裁判所で「検認」を受けなければなりません。検認を受けない遺言書では不動産の相続登記などの手続きもできないので、早めに行いましょう。

7.相続不動産の売却はお気軽にご相談ください

遺言で不動産を相続した場合でも、不動産を当面活用する予定のない方が少なくありません。売却すると固定資産税や管理費用もかからなくなり、まとまった現金が手に入ってメリットを得られるものです。遺言で不動産を相続した場合にも相続税がかかる可能性がありますが、不動産を売った資金で相続税の納税資金にもなります。

弊社では相続物件の売却に力を入れていますので、遺言書や遺産分割などで不動産を相続することになった方はお気軽にご相談ください。