2022.01.15 / 相続対策パターン

土地や建物、マンションなどの不動産を相続したら、相続登記しなければなりません。
とはいえ登記は日常的ではなく、初めてのことで戸惑っておられるのではないでしょうか?

今回は不動産を相続した場合の相続登記の必要書類、費用、手順などの知識をお伝えします。

相続人の立場になった方はぜひ参考にしてみてください。

1. 相続登記とは

相続登記とは、不動産の所有名義を死亡した人から相続人へと移す手続きです。

土地や建物、マンションなどの権利者については「登記」によって公示されています。
ただし所有名義は相続が発生しても自動的に登記が書き換わりません。

相続人が自主的に相続登記しないと、名義が被相続人のままになって混乱が生じます。
そこで相続人になったら速やかに登記申請をして相続登記(名義変更)をしなければならないのです。

2.相続登記の種類

相続登記には以下の種類があります。

法定相続分に応じて登記

遺産分割協議が成立する前に相続人が相続登記を申請すると、不動産が共有状態になります。

その場合、不動産の名義については法定相続分に応じた割合で共有登記が行われます。

遺産分割協議書で登記

遺産分割協議が済んだら、あらたに相続人になった人が遺産分割協議書を使って単独名義に相続登記できます。

遺言書で登記

遺言書があれば、遺言書をもとに相続人や受遺者が相続登記できます。

3. 相続登記の必要書類

相続登記するには、たくさんの書類を集めなければなりません。
以下では必要書類について、相続登記の種類ごとにご紹介します 。

法定相続分で共有登記する場合

  • 死亡した人の出生時から死亡するまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本
  • 死亡した人の住民票除票または戸籍の附票
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人の住民票
  • 相続関係説明図
  • 固定資産評価証明書
  • 相続放棄した人がいる場合、相続放棄の受理書

遺産分割協議によって登記する場合

  • 遺産分割協議書(調停の場合には調停調書、審判になった場合には審判書きと確定証明書)
  • 死亡した人の出生時から死亡するまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本
  • 死亡した人の住民票除票または戸籍の附票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 相続関係説明図
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 相続放棄した人がいる場合、相続放棄の受理書

遺言書によって登記する場合

  • 遺言書(法務局に預けられていない自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、検認済み証明書)
  • 死亡した人の住民票除票または戸籍の附票
  • 遺言によって不動産を取得する人の戸籍謄本
  • 遺言によって不動産を取得する人の住民票
  • 固定資産税評価証明書

書類が不足していたり不備があったりすると相続登記が受理されない可能性があるので、慎重に集めましょう。
なお登記申請書や相続関係説明図は申請者が自分で作成しなければなりません。

4. 相続登記にかかる費用

相続登記には費用もかかります。
主には「登録免許税」と「司法書士の報酬」です。

登録免許税

登録免許税は、法務局に支払う費用です。司法書士に依頼せず自分で手続きする場合でも払わなければなりません。

相続登記の場合、「不動産の固定資産税評価額の0.4%」となります。

たとえば固定資産税評価額が1,000万円の物件であれば4万円となる計算です。

事前に固定資産評価証明書を取得して、登録免許税がいくらかかるか計算しておきましょう。

司法書士の報酬

相続登記を司法書士に依頼すると、司法書士の報酬が発生します。

確かに登記は自分でもできますが、大変な手間がかかりますし事案によっては複雑な調査や対応を要求されます。

司法書士に依頼すると自分では何もせずにすみ、スムーズに相続登記できるメリットがあります。

相続登記にかかる司法書士の報酬相場は8~10万円程度です。

ただし複雑なケース、必要書類が多くなるケース、不動産がたくさんあるケースなどでは金額が上がる傾向があります。

5.相続登記の手順

相続登記は以下の手順で進めましょう。

STEP1 必要書類を集める

まずは必要書類を集めてください。

特に戸籍謄本類に漏れがあると受け付けてもらえないので、慎重に対応しましょう。

STEP2 登記申請書、相続関係説明図を作成する

必要書類のうち、登記申請書と相続関係説明図は自分で作成しなければなりません。

登記申請書の書式は法務局からダウンロードしましょう。

相続関係説明図は家系図のような表です。特別な書式はありません。

STEP3 提出する

書類がそろったら法務局へ提出しましょう。

不備があれば訂正の連絡が来ます

問題なければ登記申請を受け付けてもらえて名義人が変更されます。

STEP4 登記識別情報通知が送られてくる

登記が完了すると登記識別通知書が送られてきます。不動産の権利者であることを証明するための重要書類なので、大切に保管しましょう。

相続した不動産の管理運用が面倒な場合、売却を検討してみてください。固定資産税を払う必要もなく、共有者となった他の相続人とのいざこざも生じません。相続税の納税資金にもできます。