2022.04.15 / 相続対策パターン

不動産を相続したら、適正に「評価」しなければなりません。

不動産の評価方法遺産分割の場合と相続税の計算をする場合とで異なります。間違えないように、正しい評価方法を知っておきましょう。

今回は不動産を相続したときの評価方法をお伝えしますので、不動産の相続人となった方はぜひ参考にしてみてください。

1.遺産分割時の不動産評価方法

遺産の中に不動産が含まれていて相続人が複数いる場合には、相続人らは「遺産分割協議」を行わなければなりません。

遺産分割協議とは、相続人が話し合って遺産分割の方法を決定することです。

不動産には以下の3とおりの分割方法があります。

  • 現物分割…不動産をそのまま誰かが相続する方法
  • 代償分割…不動産を誰か一人が相続し、他の相続人へ代償金を払って清算する方法
  • 換価分割…不動産を売却して売却金を法定相続分通りに分ける方法

上記のうちから選択して不動産の分け方を決めないと、不動産はいつまでも「共有」となってしまいます。

遺産分割を行うためには、不動産を評価しなければなりません。評価額が明らかにならないと、法定相続分のうち何割になるかがわからず適正に遺産分割できないためです。

1-1.遺産分割における不動産の評価方法は「時価」

遺産分割時において不動産を評価する際には、通常「時価」を基準とします。

時価とは、実際に不動産を売ったときに「市場で売れるだろう予想価額」です。

一般的には不動産業者へ査定依頼を出せば、そのときの時価を出してもらえます。

1-2.遺産分割の場合「遺産分割時」が基準

不動産の時価は日々変動するので、いつの時点の時価を基準とすべきかが次に問題になります。遺産分割の際には「遺産分割時の時価」を基準にするのが法律的なルールとなっています。

具体的には遺産分割協議で不動産の分け方を決める際、そのときの時価を不動産会社へ確認して適用すれば問題ありません。

2.相続税計算時の評価方法

次に相続税を計算する際の不動産評価方法をみてみましょう。

相続税の計算時には、基本的に時価は使いません。土地と建物で評価方法が異なるので、それぞれ解説します。

2-1.土地の場合

土地の場合「相続税路線価」という評価方法を適用します。

相続税路線価とは、市街地などで道路に面した宅地の1平方メートルあたりの単価をもとにした不動産の評価方法です。

全国の宅地には路線価が設定されていて、その路線価に土地の面積を掛け算すれば基本的には土地の評価額が明らかになります。

土地評価額=相続税路線価×土地の面積

ただし実際には土地の形状や広さなどによっても上記の原則的な数字が修正されるので、正確に算定するには税理士に相談することをおすすめします。

また相続税路線価の設定のないエリアもあります。その場合には「評価倍率」という方法を使って不動産を評価します。評価倍率とは、固定資産評価額へ一定の数字を掛け算して不動産の評価額を求める方法です。

相続税路線価や評価倍率を使って不動産の評価額を計算すると、だいたい時価の8割程度となります。

2-2.建物の場合

建物の場合には、固定資産税評価額をそのまま適用します。

固定資産税評価額は不動産の所在する市区町村の役場へ「固定資産評価証明書」を申請すると、調べられます。

固定資産税評価額は、一般的に不動産の時価の7割程度に設定されています。

マンションの場合、専有面積部分については固定資産税評価額を適用し、敷地権の部分については相続税路線価で計算して、それぞれを合算すると相続税評価額を計算できます。

2-3.基準時は相続発生年度

相続税評価を行う場合にも、いずれのタイミングでの評価額なのかを特定しなければなりません。

相続税の計算では、「相続発生時の評価額」を用います。

路線価や評価倍率については毎年更新されて公表されるので、相続が発生した年度における評価額を用いましょう。

固定資産税についても相続が発生した年度のものを用いる必要があります。固定資産評価額は3年ごとに改定されるので、該当する年度のものを適用しましょう。

2-4.小規模宅地の特例について

遺産が土地の場合「小規模宅地の特例」を適用して相続税評価額を下げられる可能性があります。小規模宅地の特例とは、一定要件を満たす場合に土地の評価額を最大8割減額してもらえる制度です。

要件を満たすなら、必ず適用して相続税を節税しましょう。

2-5.不動産を賃貸していれば評価が下がる

不動産を相続税評価する際、賃貸していれば評価額が下がります。

賃貸不動産の場合、借地権割合や借家権割合を差し引けるからです。

節税対策として生前に不動産を賃貸に出したり賃貸不動産を購入したりする方も多数おられます。

3.不動産を売却すると面倒な評価が不要になる

不動産を相続した場合、売却して換価分割をすれば面倒な評価は不要です。不動産会社の査定金額に納得できれば、そのまま売ってしまうだけで相続不動産を処分できますし、手元にまとまった現金も入ってきます。

当社では相続物件の売却を積極的にサポートしていますので、不動産の売却や相続税対策に関心のある方はお気軽にご相談ください。